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ヒナータフ通信#77 「宝、だったから」

 

ヒナータフ通信#77 「宝、だったから」 

 

 

 

 

 

 

また、見慣れない場所…………。

 

 

青い空に、お月様が、浮かんでいる。ただ、それだけ。ここが、どこなのか、見当もつかない。 

 

 

「ここはな、俺のお気に入りの場所なんだ。故郷の風景に、似てる。宝箱から、出られたときだけ、ここに来れる。…………引っ張りまわしちまって、済まなかったな、ニンゲン」 

 

 

私は、しんみりした口調で、空にプカプカと寝そべるシスパの、しおらしいもの言いに、少し驚きながら、言った。

 

 「分かりました。"金"、"力"、"異性に、モテモテ"………。つまり、これらの望みが、私達を逆に不幸にしている。だから、そうしたものを、手に入れても、幸せにはなれない、そういうことなのですね?」

 

 

サワヤカな、憑き物でも取れたような、笑みが、思わず溢れる。 すると、シスパは急降下して来ると、私の顔の前でMAXにズームアップしながら、言った。

 

 

 「ちょっと、待て待て待て待て、五回は待て。この、サワヤカ朝一番採れめ。俺は、そんなの、ひとっことも言っとらんぞ!」

 

 

 「へ?」

 

がくがくがく、と、顔の輪郭が変わらんばかりに拍子抜けする私。

 

 

 「え、いや、だって!」

 

 

 「落ち着いて、考えろ。じゃあ、何で、そんなものや気持ちがある? この世界は、そんな意地悪じゃないだろう? 好きなだけ、楽しめば、いいではないか、自分の好きに望み、楽しめばいい。それで、満足出来るんなら、そうするのに、誰が文句を付けるんだ?」

 

 

 「そ、それは…………」

 

 

私は、叱られた小学生のように、足をもじもじさせながら言い淀む。 

 

 

「参考までに、俺の昔話をしてやろう。」 

 

 

「いえ、いいです。」

 

 

そう言って、逃げようとした私の目の前に、シスパがいた。そのありえなさ。ここは、彼の言っていた、「亜空間」というところなのだろうか。 

 

 

「まあ、聞け。俺はな、ニンゲンでいうところの、"金"も、"力"も、"異性にモテモテ"も、かつて、全て手に入れていたよ。ワカくて、ウカレまくってたんだ。天使軍の一旅団のトップだったからな。ま、当然と言えば当然さ。だが、そんな時、奴らが、来た」

 

 

 「もしかして、"超獣”、ですか?」

 

 

 頷くシスパ。

 

 

私は、"超獣"に化けたときの、あの恐るべき、内に秘めた力を思い出して、ぞっとし、それを発動する前に、シスパに大気圏外まで、吹っ飛ばされたことに、今更ながら、腹が立ってきた。

 

 

 「俺が、この星系から奴らを駆逐した後、俺の親友が、管轄している星系を、次に奴らは襲った。

 

 

奴らは、巧妙だった。今度は、目に見える形ではなく、"心の中"に、侵入して、支配権を確立して行ったんだ」 

 

フゥ、と、溜息を吐き、彼は私の目を見て言った。

 

 

 「いいか、"大事なものは、目に見えない" 、これは、俺のダチである、偉大な"星から来た男"が、よく言っていた言葉だ。

 

 

だが、捻くれ者の俺は、こう言おう。"本当に、危険なものも、目に見えない"、と。

 

 

俺達が気付いたときには、その星系は、完全に奴らの支配下にあった。

 

 

対処法は、二つ。

 

 

一個一個、雑草を抜くように、奴らに乗っ取られた連中を更生して行くか。しかし、それでは、時間がかかる。奴らの侵食する速度に追い付けない。

 

 

そこで、俺は、"一網打尽”の作戦を進言した」 

 

 

次の瞬間、シスパの高い鼻の、両の穴に、不穏な動きを感じ、私は、反射的に伏せた。 

 

 

シスパの鼻の穴から発せられた、青いビームは、二条の線となり、亜空間を貫いて、雷のような轟音を立てた。割れた窓ガラスのように、空間に亀裂が走り、バラバラと落下する。

 

 

シスパが、指をパチン、と鳴らすと、周囲は、元どおりの静寂な空間に戻った。

 

 

 「つまり、"一網打尽”って、見えない"超獣’を、星系ごと、吹き飛ばしたってこと⁈」 

 

 

シスパは、軽く頷く。 

 

 

「言い出しっぺが、やんなくて、誰がやる? 親友には家族がいる。俺は、気楽な独り身。どう考えても、俺がやるしかなかろう? で、一つの星系、吹き飛ばしちまった俺は、宝箱に封印され、今に至ると言う訳だ。」 

 

 

遠い星々を眺めるように、顎を上げる、シスパ。懐かしそうな表情。

 

 

私は、「鼻ビーム」という、どこか納得のいかない必殺技と、目前で見せ付けられた、その威力に、「こんな、あほな強力技で、全滅させられた、遥かな星系の存在に、思いを馳せた。

 

 

彼らも、食べたり、寝たり、話したり、人間のような普通の日常を送っていたのだろうか。それを、見えざる敵の侵略はあったにしても、突然、断ち切られるのは、どんな気持ちなのか、暫し思いを馳せた。 

 

 

「鼻ビーム…………」 

 

 

「いや、どこからでも、出せるぞ。この逞しい大胸筋の、二つのボタンから、いわゆる、"ち**ーム"も可能だが、表現的に、ちょっとアレなので、自粛しました」 

 

 

思わず声を漏らした私に、律儀に応えるシスパ。これまでの行動を鑑みるに、悪戯坊主のような、純粋さの持ち主なのかもしれない。

 

 

 「封印…………ということは、その手を縛ったロープも…………」 

 

 

「そうだな、アレだ。ソンゴクウの頭についてる、あの、カチューシャ?、と同じだ」

 

 

 「そうそう、ソンゴクウの、カチューシャ!」

 

 

 私とシスパは、同時に首を捻りつつ、顔を見合わせて、笑った(正解→緊こ呪)。

 

 

 私は、心の中に、一つの灯がともるのを感じた。

 

 

 (もう少し、続く)

 

 

 

 

*インスタからの投稿が、あまりに字が密集していて見づらかったため、同じ内容の文章を、行間を空けて書いています(^^ゞ

 


 

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